もう苦手な人回れ右とかいちいち書かないぞ
連載時から評価が高く単行本発売前からかなり話題になってた作品。
緻密で繊細ってタイプではないけど絵が綺麗、それもコマ割りとか構図的な意味も含めての"綺麗"。表紙のイメージと変わらず人物の顔のアップがかなり多めで、セリフごとの微妙な表情の変化が細かく描かれていた。
というか開幕いきなり母親にオナバレするとかいうド派手な始まり方をしていて、そりゃ話題にもなる(pixivで読める)。よく出来てるなぁ
綺麗なビジュアルと高校生というジャンルもあって一見気楽に読めるタイプの作品に思われそうだが、内容はかなりリアル。でもそこがいい。
ノンケに片想いする愁人の葛藤がメインテーマなんだが彼の考え方が年齢不相応というか、同性愛がマイノリティでおよそ理解されないこと、ノンケとの恋愛が如何に非現実的かってことを客観的に見る姿勢が徹底されていて、とても高校生のそれではない。ただその分相手に心を開いた時の、無理してたものがすっ飛んで楽になるシーンはうおおおってなる
とにかくほのぼのBLに慣れすぎてるとグサグサくる表現が多いから身構えて読むくらいが丁度よかった(手遅れ
細かく描かれる愁人とは反対に、ノンケの千紘は意味深な台詞・モノローグが多めで核心をつく表現が少ない。まぁ最終的に両思いになるんだが、どのタイミングで、どんな理由で、ってのが掴みにくい。というか掴めない。
意図的に明言を避けて書いてる感があるから好きなように解釈してくれってことなんだと思う。材料が多いから色々考えるのは面白い。
あと開幕で描かれた母親とのすれ違いも最後まで解決しない。そもそも母親ほとんど出て来ない。正直、母親のくだり要るか?って感じはした
そもそもBLで両親との絡みをちゃんと描く作品ほとんど無いしな。あってもBLバレしないパターン。実際扱うテーマとして難しすぎるし、1巻完結の作品でやるのは無理がある
同性愛にちゃんと向き合う重めのテーマだけども、ストーリーは特に拗れたりするものではなく、ほのぼの要素でバランスが取れていたと思う。前評判に違わぬ良い作品だった。